不妊症の原因
健康とされる男女のパートナーが妊娠を希望し、避妊をしない性生活を2年以上続けても妊娠に至らないと不妊症と診断されます。原因については、ひとつとは限りません。大きく分けると女性に原因があるとされる女性不妊、男性に何らかの原因があるとされる男性不妊に分類され、男女ともに原因があるというケースもあります。
女性に原因がある場合としては、排卵障害、卵管に閉塞や狭窄等がある、子宮に何らかの異常(子宮筋腫、子宮奇形、頸管炎 等)がみられる、子宮内膜症などが挙げられます。また男性不妊では、性機能障害(射精障害、性交障害)、精子の異常(精子の数が少ない、動きが悪い、形がいびつ)、ホルモンの異常といったことが挙げられます。
上記以外にも、喫煙や多量の飲酒、過剰なストレス、肥満などの生活習慣が原因となるほか、高齢になると妊娠の確率が低下します。
不妊検査について
不妊症が疑われると不妊の原因を調べるための検査を行います。基本的な検査としては主に以下のものがあります。
女性が行う不妊検査
- 基礎体温の測定…排卵の有無を調べるために行います(自己測定)。
- 血液検査…採血によって血液中に含まれるホルモンを測定し、排卵障害の原因などを調べます。
- 超音波検査…経腟超音波検査を行い、子宮や卵巣の状態を確認していきます。
- 子宮卵管造影検査…造影剤を子宮口からカテーテルを介して注入し、X線撮影による検査となります。卵管の詰まりの程度を確認するほか、子宮腔の形などを調べることもできます。
- フーナーテスト…性交後検査とも呼ばれます。排卵期に性交を行い、性交後の頸管粘液を採取し、その中に含まれる精子の状態を顕微鏡で観察します。
男性が行う不妊検査
- 精液検査…2~3日程度禁欲し、マスターベーションで精液を採取します。その後、精子の濃度や有無、運動率、奇形の割合などを顕微鏡で調べます。
不妊症の治療法、流れ
不妊症の原因を特定させるため検査を行います。その結果、原因が特定し、それに対する治療を行わないと妊娠が不可能(両側卵管閉塞、無精子症、無排卵症 等)という場合は、その治療を行います。また不妊の原因がはっきり特定しなかったケースでも不妊症の治療法として最初にタイミング指導が選択されます。
タイミング指導について
妊娠しやすい時期(排卵日)に合わせて性交を行うことで自然妊娠の確率を上げていく不妊治療のことをタイミング指導と言います。そのためには、できるだけに正確に排卵日を把握する必要があります。卵胞(卵子が入っている袋状のもの)は1日1~2mm程度成長し、18~20mm程度になると排卵するといわれています。この大きさを確認するために、経腟超音波検査を行い、卵胞を計測していきます。そのほかにも血中もしくは尿中の黄体形成ホルモン(LH)の数値を調べるなどして排卵日を予測していきます。
このタイミング指導に関しては、約6ヵ月続け、その後、人工授精や体外受精など、別の不妊治療を選択していくことになります。なお高度生殖医療を希望される場合、当クリニックと提携している総合病院などを紹介いたします。